萌出障害の咬合誘導(埋伏歯への対応)

萌出障害の咬合誘導埋伏(まいふく)永久歯とは、歯が生えるスぺ―スの不足、歯の生える方向の異常、生える力の不足、良性腫瘍や嚢胞などで出口がふさがれるなどの理由により、永久歯が出てこれない状態のことをいいます。埋伏永久歯と診断された場合、歯が生える場所を確保するため、歯の移動、過剰歯の摘出、異常増殖した結合組織の除去など、咬合の発育を正常に導くための処置が必要となります。これらの処置が遅れるほど、その後の処置がより困難なものとなり、場合によっては永久歯の抜歯にまで至る可能性もあります。

近年、上顎の発育異常の子供が多くなっています。そのため上顎の方が下顎に比較して特に高い発現頻度となっています。
※不正咬合(噛み合わせが正常でない)がある場合は、埋伏の頻度が高い。
※上顎犬歯が正常な位置に生えてこない場合は、隣接する歯の歯根吸収(歯根が溶かされてしまうこと)を起こすリスクが高いため、早い段階での対応が必要です。

萌出遅延(歯が生えてこないこと)の診断
永久歯の萌出遅延の主因は、歯が生えるスペースが無いということです。まずは埋伏を回避するために最大限の努力を図るとともに、隣接歯の歯根吸収を防ぐために早期発見・早期治療がポイントになります。そのため当院ではCone-Beam CT撮影をします。埋伏の原因や可能性を精査して、埋伏歯が出てこられるよう誘導する最善の策を検討し、最適な時期に適切な処置を実施します。 

萌出遅延の目安
① 暦齢+2SD(標準偏差)で萌出遅延と診断:(第一大臼歯は8歳で、第2大臼歯は15歳で2SD)
② 歯根形成量:歯根形成2/3でも萌出していないのは萌出障害です。(1/2萌出開始 1/2~3/4出齦 2/3~萌出完了)
③ 左右歯の萌出の同期性:反対側同名歯と4~6カ月遅れている場合、レントゲン診査をして判断します。

埋伏歯の対応
1、歯が出てこられるスペースを作る
8歳くらいまでなら「急速拡大装置」を使用することで歯が出てくることが多い。

2、乳歯の抜歯、歯牙腫(しがしゅ:腫瘍の一種)などの原因の除去
それでも出てこない場合は、外科手術により切開後埋伏歯を引っ張り出し、その後ブラケットをつけて噛み合わせに参加させることが一般的に行われます。

外科手術について
外科手術外科手術外科手術
外科手術外科手術
上顎右側犬歯が右上中切歯と側切歯の間に出てきそうです。
このまま経過を見ると側切歯の歯根を吸収してしまいます。

切開による誘導:生えてくる方向に異常が無ければ切開し、自然に生えることを期待します。
次へ
その後、必要であれば歯を引っ張り出します。
※再度切開が必要となることがあります。
※下顎7の臼歯の切開の時は、ガーゼを入れて閉じないようにする。

切開・牽引による萌出誘導:生えてくる方向に異常があれば埋伏歯にボタンをつけ、引っ張り出します。
※深いところの埋伏の時は、ボンディング(接着させた成分)は取れるので、ワイヤーで縛る事もあります。
※対顎から引っ張り出す場合、対顎に「アンカースクリュー」という器具を使います。

萌出障害(歯が出てこれないこと)には全身的な要因の場合もあります。鎖骨頭蓋異形成症など、多くの遺伝性疾患が報告されています。遺伝子診断をすることで不要な治療が省ける可能性もあります。

① 鎖骨頭蓋異形成症(反対咬合が多い。2回に分けた施術が一般的で、1回目には10歳前後に切開施術で前歯を、2回目は13歳前後に犬歯・小臼歯を出させる対応をします。
② 特発性萌出不全(アンキローシス(骨性癒着)せずに、永久歯だけでなく乳歯も埋伏していること。この場合矯正力に対する反応はなく、反対咬合に多い

小児の歯科治療に際しては、う蝕治療(むし歯治療)のみでなく、萌出障害(埋伏歯)の予防と処置は重要です。当医院には、多くの上顎犬歯埋伏症例、上顎第一大臼歯埋伏症例があります。全身の健全な成長発育を含めた診断・指導を行っておりますので、お気軽にご相談ください。

まずは、お悩みをご相談ください

まずは、お悩みをご相談ください